[51]

 たぶん僕は夢を見ていました。
 小さい子供のころの夢です。
 幼い妹と、その友達の女子、みくちゃん、千尋ちゃん、ほかに名前の知らない女の子たちと一緒に、おままごと遊びをしていました。
 従姉の麻衣ちゃんもいます。
 僕は"お父さん"の役で、千尋ちゃんが、"お嫁さん"の役です。
 たわいない子供たちの遊びに、裕美子おばさんが、割って入ります。
 「あらあら、ひろ君は、おとこのこのくせに、おままごとが好きなのねえ」
 満更でもないという表情で笑います。
 「ひろ君、おとなしいから、女の子だったらよかったのに」
 5歳年上の従姉が言います。
 「そうよ、ヒロは、女の子だったらよかったの」
 母真由子が、なぜか全裸で出てきて、豊満な胸を、僕の顔面におしつけて言います。
 「よ、よせ!!」
 僕が叫ぶと、
 「よせじゃないんだよ」
 突然母の口調が乱暴になり、はんにゃの面で僕を睨みつけました。
 「そうよ、よせ!じゃないのよ」
 裕美子おばさんが言い、僕の耳をひっぱりました。
 「あなた、真保ちゃんと、みくちゃんに、何をしたの?」
 「べ、べつに、何も」
 「うそ」
 「嘘つき」
 「うそついてるわ、おにいちゃん」
 妹の真保が言い、制服のミニスカートをたくし上げました。
 彼女はパンティをはいておらず、むしだしの女性器から、大量の出血をしていました。
 「おにいちゃん、これを見ても、違うって言うの?」
 「ち、ちがう」
 僕は強姦してない。
 しかし、言葉になりませんでした。
 「ヒロさん、どうして、あんなことをしたの?」
 韮崎みくと、北原千尋も、自分のミニスカをめくり上げて中身を見せます。
 2人とも血まみれでした。
 「よ、よせ!!近づくな」
 「どうして、ヒロ?あんなことをしたの」
 母真由子が、やはり下腹部から血をぽたぽたとしたたらせながら、迫ってきました。
 「あなた、女の子だったらよかったのよ・・・そうすれば、あんなこと、しないで済んだでしょ」
 「そうよ、女の子だったらよかった」
 麻衣子が言います。
 「わたし、お姉さんがほしかった」
 真保が言います。
 「赦してください・・・」
 「どうやって?ゆるせばいいの」
 「・・・・・・・・」
 「女権委員会に言うわよ」
 「それだけは勘弁してください」
 「だめよ。お兄ちゃん、女権委員会の怖い、こわぁい女性たちの手で、お仕置きされるのよ」
 「そうよ、お仕置きよ」
 「わたしたちが、いいって言うまで、帰れないのよ」
 「お、おまえたち、そんなことしたら、どうなるか分かってるんだろうな」
 「やだ、こわい」
 「おにいちゃん、ちっとも反省してない」
 「そ、そんなことない」
 「ひろさん、ほら、女権委員会がお迎えにきたよ」
 「助けてくれ!!!」
 「だめ」
 「ダメに決まってるでしょ」
 「そうよだめよ」
 母、裕美子、麻衣子、真保、みく、千尋が襲いかかってきた。
 「やめてくれ!!」
 僕は身をよじって抵抗するが、女たちの力は思いのほか強い。
 僕は、力いっぱい暴れ、女たちに抵抗したが、多勢に無勢で、あっという間に6人かかりで着衣を脱がされ、パンツまで、母の手でむしり取られてしまう。
 「見ないでくれ!!」
 「よーく見てやりましょう」
 妹の真保、みくちゃん、千尋ちゃん、名前の分からない女の子たち・・が、目をキラキラさせながら、僕の恥ずかしい姿を見つめていた。
 「お兄ちゃんのチンチン、小さいね」
 真保が笑った。
 いつのまにか、総勢200人を超える女性たちが、僕を環視している。
 『ララララ♪ラララ、ララ』
 女たちが、高らかに歌いながら、全裸の僕を処刑場に引いてゆく。
 これは、夢だ。
 「女の子だったらよかったのに」
 もう一度母が言い、僕を抱きしめた。
 「ほんとうに・・・男に生まれてきて、すみません・・・」


 目を覚ますと、灰色のコンクリートの壁が一面にある殺風景な部屋の中にいた。


   続く
     被虐小説の部屋に戻る