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 「勃起は、性的刺激を受けることで、NO(一酸化窒素)が放出され、 局部の細胞内に、cGMP(サイクリックグアノシンーリン酸)という、血管を拡張させる物質が増えることで起きます。 そして、放出されたcGMPをPDE5という酵素が壊すことで、海綿体の血管が収縮して勃起が治まります。 サヴィトラが有効成分として含有するバルデナフィルは、PDE5を抑制する作用があるため勃起補助の効果があります」
 女医の新妻千枝子の解説を、女たちが、うんうんと聞いています。
 「このお薬には、性的興奮作用や性欲増強作用などの催淫効果はないのです。 性的刺激を受け性的興奮した後、いざ勃起をした時にそれを補助してくれるお薬です。 ですから、まずは性的刺激により自らcGMPを増やす必要があるということです」
 彼女はサディスティックに笑い、
 「あなたが性的に興奮しなければ、これだけの薬を飲んでも、どってことないわけよ」
 「性的に、興奮しなければ・・ね」
 おかっぱ頭の越石さくらが、嬉しそうに笑いました。
 彼女は、僕の性器をつまみ上げ、
 「今のところ、変化なし!」と宣言しました。
 あとで考えると、こうした彼女の言動こそが性的暴力だと思うのですが、このときは、もう僕の感覚はマヒしていました。
 ただ頭の中で、(フェミババアめ!)と叫ぶのが残された僕の唯一の抵抗でした。
 「なーんだ、期待外れ」
 綿貫真梨絵が言いました。
 このクソ女め……。
 「先ほどのタイの事例では」
 "アジア女連"の小宮さなえが口を開きました。厚化粧がとけて、非常に見苦しかったです。
 「売春宿で働かされた経験のある60代〜70代の女性と、ゲイの男たちが呼ばれて、 よってたかって、手でしごいて勃起させたそうよ」
 「さて、どうしましょうかねえ」
 ニヤニヤ笑いながら、越石さくらも言います。
 「この中のだれかに、勃起させてもらう?」
 わあっと、いっせいに女たちが笑いました。
 冗談じゃない。僕は、思わずベッドから立ち上がりました。
 「ふ、ふ、ふ、ふざけんな、ブスどもが!!」
 「じゃあ、わたしの知り合いのゲイboyに頼むかな」
 榊美華が、ケータイを取り出して、本当にどこかに電話をかけはじめました。
 「あ、もしもし、榊美華です。ご無沙汰してます。朋秋さん、いま忙しいですか?」
 「よせ!!」
 僕は叫び、小柄な女弁護士に向ってタックルを仕掛けますが、よろけてしまいます。
 「ちょっとぉ、あんたのために、考えてあげてるんだよ」
 彼女はぴょんぴょん部屋を移動しながら、電話をかけ終えてしまいました。
 「LGBTの朋秋さんていうんだけどね。彼女はトランスジェンダーなんだけど、ゲイの知り合いを多数連れて、 すぐに来てくれるって」
 「エルジービーティー……って、なんだよ!??」
 「そんなこと知らないの?あなた、ほんとうに大学生?」
 「ちょっとは勉強しなさいな」
 「いまどき、常識」
 女たちが口々に言います。
 「・・でも、まあ、ひとを呼ぶまでもないな」
 越石さくらが言いました。
 「あたしがしてやるよ」
 ギラリ、とメガネの奥で眼を光らせて、僕を見すえました。
 あまりの恐怖に、すくみ上ってしまいます。
 「あら、いいわね〜」
 女社長でこの部屋のオーナーという小野りかが、すかさず合いの手を入れました。
 「なんなら、あっちにわたしのベッドがあるから、使う?」
 「ふ、ふざけんな!!絶対に立たないよ!!」
 「フフフフ、ためしてみようか?」
 越石さくらがぐいっと、薄い胸を近づけて来ました。
 香水と腋臭がまじったようなにおいがして、吐きそうになりました。
 「やめろ!!!」
 「わたしでもいいわよ」
 西脇佐和子が腕まくりをして見せました。
 「あら、わたしでもいいわよ」
 大柄な元自衛官の紅林央子も言いました。  「わたしでもいいけど……さすがに、お母さんに怒られちゃうかな」
 朝日奈泰子が言いました。
 「ふ、ふざけんな、ブスババア!だれがお前たちなんかに……」
 「あら、せっかくの人の好意を無にするわけ」
 「どうせ、若い子の方がいいって言うんでしょ」
 「あははは、わたしは、やーよ!」
 女子大学生の上原絵里奈が身をよじって逃げました。
 「わたしは、いいわよ!」
 留学生のアイリスユンが言います。
 「手でしごいてあげればいいんでしょ。あたし、タイ・マッサージの経験あるから楽勝だわ」
 僕の腕をつかみました。
 「やめろ!!!!」
 「なによ!そんなに怒鳴らなくてもいいでしょ」
 「みんながしてあげるって言うのに」
 「ちくしょう、淫乱女どもめ」
 さめざめと泣きました。
 「みんながサービスしてやるって言ってんだから、泣かなくてもいいでしょ」
 と、小野りかが言い、僕の下半身に手をやりました。
 「やめろ!!」
 「そんなに嫌かい?」
 「イヤに決まってんだろ!!」
 「じゃあ、しかたないな。そこまで言うなら、じぶんでしてもらうかな」
 越石さくらが、ニヤニヤ笑いながら言いました。
 「あたしたちが嫌なら、仕方ないわねえ」
 小宮さなえも言います。
 「あなた、右利き?」
 西脇佐和子が、そう言って、手錠のロックを片方だけ外しました。
 長時間手錠をされたまま暴行を受けたせいで、右手首がまっさおになっていました。
 「それじゃ、どうぞ」
 「え……?」
 「どうぞ、って言ってるの。自分でするのよ」
 「そんなことできません」
 「じゃあ、わたしたちがするよ」
 「ゆるして下さい」
 「いいからやれ!!」
 越石さくらが、僕の顔面を殴りつけました。
 本当に彼女は男が憎くて仕方がないのだと思いました。


    
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