[15]

 越石さくらが、僕の正面に立ち、小気味よさげに眺めました。
 「けけけ。もう後悔しても遅いよ」
 そう言って、彼女は僕の頬を殴ります。
 「女が、男を殴るのは、いいのかよ!!」
 「わたしたち女権委員には、男子懲戒権が認められています」
 そう言って、越石さくら、榎本美沙子が代わる代わるビンタをします。
 「やめろよ、おい!こんなの、卑怯だぞ・・・・」
 僕は、つま先立ちで、身体をゆらしながら言います。
 「あんたがしたことの方が、よっぽど卑怯じゃないの!」
 そう言って、榎本美沙子がさらにビンタを加えます。
 「ええッ!!あんた、妹の真保ちゃんに何をしたの!!」
 「韮崎みくちゃんに何をやったか言ってごらんよ!!」
 「ほら、なんとか言いなさいよ!」
 「ちっきしょう・・・・覚えてろ」
 「覚えてろ、じゃないでしょう!」
 「降伏する気になるまで、叩きつづけるわよ!!」
 小宮さなえ、榊美華だけでなく、女子大生の上原絵里奈、留学生のアイリス・ユンも加わり、交互で手を休めながら、僕の頬を叩きます。
 「だれが降伏するもんか!」
 ペッ!と、僕は越石さくらの顔に目がけて大量の唾をはきました。唾は、命中せず、わずかに ズボンを濡らしただけ。
 「・・・・。フーン。いい度胸してる!」
 越石さくらは、ハンカチで唾をぬぐうと、フルスウィングで僕の顔面をぶん殴りました。
 ものすごい力です。僕の唇は切れて、血がしたたり落ちました。
 「あんた、私たちの管理下にある72時間の間は、なにされても文句は言えないのよ」
 「まだ、あと70時間くらいあるわねえ」
 上原絵里奈が笑います。
 「ふざけんな!!」
 僕は吠えます。
 「そんなの、お前たち女が勝手に作った法律じゃないか。オレは承服しないぞ!!」
 「承服できないと言われても」
 と、女性党議員の小宮さなえが言いました。
 彼女は、女権法の制定に尽力したフェミニズムの論客として、顔と名前を知られる存在でした。
 「わたしたち女が、国会で、正規の手続をふんで、制定した法律よ。・・・それがいやなら、この国から出てけば? ・・・もっとも、アメリカや北欧、中国、インド・・・・。もっと過激な女権法が支配する国になっているわよ」
 「痴漢や性暴力男は、市中引き回しの上、麻酔なしで去勢とかね」
 留学生のアイリスが言います。
 「今に、日本でもそうなるわよ」
 小宮さなえが、そう言って僕の尻を叩きました。
 「ちくしょう!」
 「フフフ、いくら怒っても、今やそれが世界の常識なのよ。そうだ!あなただけ特別に、今すぐそうしてあげましょうか?」
 「そ、そんなこと、できるわけないだろ・・・・・・」
 「さあ、どうかしら・・。ここでは、あなたは、何されても文句言えない立場なのよ」
 ねえ、と小宮さなえが、隣に立っている弁護士の榊美華に言いました。
 「そうよ〜。ここでは、男に人権なんてないのよ」
 どこまで本気なのか、榊美華が答えます。
 「ふ、ふざけんな、そんなことあるわけないだろ!」
 「あら、ふざけてなんか、いないわよ」
 そう言って、小宮さなえが、僕のズボンのベルトを外しだしました。
 「よせっ!・・・・。やめろよ!!ひ、卑怯だぞ・・・・・・こんなの」
 「あら、性暴力男には当然のお仕置きよ」
 小宮さなえが、僕のGパンの前を開き、両手で一気に足元までズリ下ろします。
 紅林央子が、両手で、僕のシャツを引き裂きました。
 ちぎれたボタンがいくつも床を転がっていきます。
 繊維が破れ、僕の胸と、へその周辺があらわになりました。
 小宮さなえが、下着のシャツに、はさみを入れます。
 ジャキッ、ジャキッと音を立てて、僕の上半身から衣服を切り取って行きます。
 脱がさないのは、僕の両手が背中で縛られているからです。

    
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