[13]

 「ぼ、僕を、どうするつもりだ・・・・」
 僕は、乾いた口を舌でなめながら、ようやく声を出しました。
 しかし、女性たちは、答えません。全員、示し合わせたように、冷ややかな目で僕を眺めるだけです。
 「おい、なんとか言えよ!!」
 それでも女性たちは無言。
 僕は、この空気感に堪えられなくなり、さらに大きい声を出します。
 「なんとか言えって!!!」
 「・・・・そんな大きな声を出さなくても、聞こえてるよ」
 榎本美沙子が、怒りを押し殺した声で言いました。
 「韮崎みくちゃんには、念のため、病院で検査を受けてもらうことにしたわ」
 そう言って、榎本美沙子が、僕のあごに手をやり、顔を上に向けさせようとします。
 「わたしたち"切りきざむ会"が、きっちり落とし前つけてあげるから。あなた、覚悟はできてるんでしょうね」
 「だまれ!!」
 僕は叫びました。
 「なにが、"切りきざむ会"だ。そんなお遊びに付き合っている暇は、こっちにはないんだ。帰らせてくれ!!」
 榎本美沙子は失笑し、「わたしたちが、お遊びでやっていると思ってるの?」
 「だってそうだろ!!女が徒党を組んで、この部屋で、くだらない雑誌か何か作って、いちゃいちゃしてるだけだろ!!レズビアンどもが!!」
 「・・・・言ってくれたわねえ」
 越石さくらが、僕の頭を小突きました。
 「あんた、ここがどういう場所だか知らないの?」
 「知るもんか!!」
 「じゃ、教えてあげるわ。あなたは、韮崎みくちゃんと、妹の真保さん、二名の少女に対する強姦容疑で逮捕されたの。こうして女権委員会に来た以上は、 わたしたちの管理下におかれるの。高校か大学の授業で習わなかった?」
 と、榎本美沙子。
 「72時間は帰れないから、そのおつもりで」
 小宮さなえも、言います。
 「そんなの知るか!!今日は、大学でゼミの面談があるんだ。就職がかかっている、大事なゼミなんだぞ。無断欠席したら、大変なことになるぞ」
 「ご心配なく。とっくに、あなたの大学に連絡しておいてあげたから」
 女子大生の上原絵里奈が言いました。
 彼女は愉快そうに体をゆすりながら、「あなたのゼミの先生、女性なのね。カンカンだったわよ。レイプ容疑で女権委員会のお世話になるような男は、必要ないですって。見捨てられちゃったわねえ」
 「そういえば、女権委員会の好きなように処分して構わない、とも仰ってたわね」
 越石さくらが、うけけけ、と笑いながら言いました。
 ゼミ担当の教授は四十半ばの独身女で、ヒステリー癖があり、コーヒーカップを投げつける場面を何度か目撃しています。
 僕とはうまく行っていました(この女に気に入られるように、僕が努力したんだよ!)が、ゼミ旅行などの宴会時に、しつこく絡んでくるのが困りものです。
 「あーあ、先生に嫌われちゃった」
 上原絵里奈が大きな口を開けて笑いました。
 「これで、就職もパーかな??」
 「お前たち、ふ、ふ、ふざけんな!!」
 僕は、口から泡を飛ばし、上原絵里奈に噛みつこうとしました。
 その途端、身長175センチ、80キロの紅林央子が、僕の顔面を平手打ちしました。
 ばちーん!!と音が響きます。
 一瞬、目の前が真っ暗になって、僕はその場でうずくまってしまいました。
 「べつにふざけてはいませんよ」
 紅林央子が言いました。
 「あなたこそ、その態度はなんですか!少しは反省したらどうなんですか!」
 「だからと言って、勝手に大学に電話することないだろ!なにが女権委員会だ!!・・・・ひとの人生を滅茶苦茶にしやがって・・・」
 僕は、まだ目を開けられません。流れ出る涙をぬぐいながら、叫びました。
 「そんなの自業自得でしょ。それじゃあレイプされる女の子の人生は、どうなるのっ!」
 「レイプなんかしてないって!!」
 「したでしょうが!!!」
 もう一回、今度は榎本美沙子が、ビンタを食らわします。
 「してないって。真保と話をさせてくれよ」
 「真保ちゃんは、別の部屋で、事情聴取中です」
 朝日奈泰子が、ぴしゃりと言いました。

 僕が、九つ歳の離れた妹とその幼友達に、性的ないたずらをしたことがあるは確かでした。
 母親が海外出張で不在のときに、遊びに来ていた韮崎みくに、お酒を飲ませてしまった。
 無理やりにではありません。
 韮崎みくは、中学3年ですが、お酒を飲むのははじめてではないと言っていました。
 妹の真保は、まじめな生徒なので、もちろん飲酒なんてしません。
 しかし、ふだん厳しい母がいないことの解放感からか、幼なじみの前で背伸びをしようとしたのか、この日真保ははじめてのビールに挑戦しました。
 3人で缶ビールを2本開けただけで、2人の少女はふらふらになっていました。
 みくちゃんは口ほどにもなく、トイレでげーげー吐いていました。
 妹の真保もぐったりと倒れてしまいました。
 このとき僕は解放するふりをしながら、2人の下半身に指を入れてしまった。
 少女たちは、何も覚えていないと思ったんですが・・・・。
 僕が、卑怯でした。一つ言い訳をすると、例の女教授からの逆セクハラに対するストレスがあったことも確かなんです・・・・。
 それにしても、妹の真保は、何と言ってるんでしょうか?
 "性被害体験者"の松浦希空が、ぎらぎら光る眼で僕を見ていました。

    
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