[4] マンションに到着すると、ベージュ色のスーツを着た50歳くらいの女が出迎えました。朝日奈泰子、と名乗りました。落ち着いた雰囲気の女性です。 彼女は、母真由子とは旧知の仲だったみたいで、 母:「突然、無理言ってごめんなさいね」 朝日奈泰子:「いえ、いいのよ。それより、驚いたわね」 母:「灯台もと暗しとは、このことだわ。お願いするから、きっちりと教育してちょうだい」 ・・・・などと会話していました。 そういえば、小学5年くらいのときに、どんなシチュエーションだったか忘れましたが、 朝日奈泰子から、「これからの男の子は、女性に従順でないと通用しない」と、"教育"されたことがあった気がします。 そのときは、なんだか厳しそうなおばさんだなあ、としか思いませんでしたが、それもそのはず、女権委員会のメンバーだったのですね。 朝日奈泰子は、"ラブ・ピースクラブ"という女性団体の代表ということでした。 本当かどうか知りませんが、日本とアジアで会員が15万人もいるらしいです。 この日集まった女たちの中では最年長者であり、自然とまとめ役のような立場になっていました。 朝日奈泰子は、赤ジャージ姿の女たちの労をねぎらい、 「A子さんは、これから保育園?今日もご苦労様でした。ちーちゃん、ばいばーい!」明るく言いました。 また、「B子さんと、C美さん、D子さんは、お疲れのところ悪いんだけど、今日もう一件、出動してもらえるかしら。以前からマークしていた例の男性教師、ようやく尻尾をつかんだって。さっき、西東京地区女権委員会から応援依頼の電話があって」と言いました。 「いいわよ」 「了解!」 「任せて」 赤ジャージ女のうちの3人は、休む間もなく、新たな"男狩り"に出動して行きました。 ご近所の主婦で、赤ジャージに加わっていたD子が、通りすぎざま、「・・朝日奈さんたちに逆らうと、どんな目に遭わされるか分からないわよ」と言いました。 |