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本日の拷問


 こずえさんの命令で、僕に残された最後の一枚が剥ぎ取られた。

 恥ずかしい・・・というよりも、寒さと恐怖が先に立つ。

 実際、女たちは、鍛えられた男性ストリッパーのからだに到底およばない僕の 肉体などには、ハナから興味がないようだ。

 みちよさんが、バリカンを僕の下腹部にあてた。
 ちりちりと音をたてて、臍下の毛が舞い落ちる・・・。

 バリカンが進むと、みちよさんは片方の手で僕の生殖器を持ち上げ、睾丸から尻の穴に かけてまばらに生えた毛を、丁寧に削いだ。

 剃毛が済んでしまうと、僕の下半身はわれながら子供みたいだった。
 言葉には現さないが、みちよさんもそう思ったに違いなく、母親が子供にするみたいに、 指ではじいた。

 こずえさんが、動物の首根っこつかまえるみたいに、陰茎と睾丸を両方たばねた。
 そして、ぐいっと引っぱったところで、みちよさんがひもでぐるぐる巻きにした。

 ひもは、そのまま天井へ。回転ストッパーのついた滑車を通され、ふたたび下に降りる。
 みちよさんが、ひもの先端をにぎった。

 や、やめて・・・許して・・・・・・。

 力無くつぶやいたところで、二人の女の嗜虐心をますます刺激する以外に、何の効果もない。

 みちよさんは、アスレチックにぶら下がるように、ひもに体重をかけた。
 こずえさんも、それに手を貸す。

 たくさんのゴムをたばねたひもは、わずかに弾力がある。しかし、そのことで救われるのは一瞬 で、すぐに男性器を丸ごと持って行かれそうな衝撃が襲う。

 ぎゃ―――っ!
 ぐわはぁあああああっ!!!
 ち ぎ れ る。根元から。
 そう思った。

 だが、性器をちぎり取られる代わりに、お尻が宙に浮いた。
 人間のからだは、意外と頑丈にできている・・・と思った。

 みちよさんが、ロープを離した。天井の滑車には、ストッパーがあるので、手を離しても ひもが落ちることはない。
 僕は性器だけで、自分の体重の何割かを支えつづけなければならない。

 「すごい顔してるわねぇ。苦しい?」
 と、こずえさんが聞いた。

 ぐ、ぐ、ぐ、ぐ、ぐ、 ぐる、ぐ苦しいで・・・つ・・・。

 「このまま放っておいたら、どうなるかしら」
 みちよさんが言った。

 (し、し、死ぬに、決まってます・・・・・・。)

 「もう少し、高く上げた方がいいんじゃない?」
 こずえさんが、体重をかけて、さらにひもを20cmほど引いた。

 ぎゃ―――っ!!!
 僕の尻は、さらに急角度で持ち上がった。

 あっ、あっ、あっ、あ・・・ち ぎ れ る、今度こそ、ちぎれる。
 こ、こ、こ呼吸が、で き な い。あは、あは、はぁ。


 「どう?苦しい」
 
 「・・・答えなくなったわね。ちょっと、降ろしてみるか・・・」

 こずえさんが、滑車のストッパーを外した。
 カラカラカラ・・・と滑車がまわり、僕の体重につられてひもが落ちた。

 「どう?あとどれぐらいなら耐えられそう?」
 みちよさんが言った。
 僕は、ぐったりと目をつぶって答えなかった。

 「おーい、どうした?・・・気絶しちゃったかな」

 「甘えてるだけでしょ!」
 無慈悲にも、こずえさんが往復ビンタをして言った。
 「さ、もう一度」

 みちよさんが、ふたたびアスレチックのポーズで、ひもを引いた。
 今度は、最初からすごい急角度である。

 ぐわばっはっは――――っ!!!!!!

 ぬ、抜ける。・・・根元から、ち ぎ れ る。
 助けて!!!!

 「ホホホホ・・・ここには、助けなんて、絶対に来ないよ」
 こずえさんが、僕の腹にめがけて、何発も蹴りを入れた。
 一撃お見舞いされるたびに、ひもで巻かれた性器にギシギシと負担がかかる。
 
 「みちよもやったら」
 こずえさんが、僕の鼻の上に、がに股でしゃがんで言った。
 「やらないと、そろそろ限界がくるよ」

 みちよさんが、ベッドの上で、ストッキングの両足をそろえた・・・。
 そのままぴょんとジャンプして、僕の下腹部に着地した。

 ぶっつん!!!
 ものすごい音がして、ちぎれた。

 ひもが、である。

 白目をむいて、僕は意識をなくした。



 ・・・・・・・・・・・・


 ・・・・・・・・・・・・


 「今日の拷問は、まあまあだったね」
 と、こずえさんが言った。

 「ん―でも、最後は本当にちぎれて、やばいかもって思った」
 みちよさんが答えた。彼女は空になったLuckyStrikeの箱をつぶしながら、
 「どっちにしても、あの子はしばらく使いモノにならないでしょうけど」

 「あら・・・あの子、勃起してたよ。気づかなかったの」

 「えっ!?マジで」
 
 「そう。だから、遠慮することないよ」

 「フフフ・・・そうなんだ。それじゃ、もう少し遊んでもいいわね」

 「そうね」

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